タイム誌が選ぶ「次世代リーダー2021」

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  1. ワクチン1回目の接種を終えた我々夫婦は、短期間長野にやって来ました。田舎道を車で走って、畑の草取りをして、山奥で静かに過ごす日常です。

 今回は、そんな田舎暮らしで読んだタイム誌の特集「次世代のリーダーたち2021年」

の話です。

 同誌は、2014年から毎年、世界各地の、政治・社会活動・ビジネス・文化など様々な分野でこれから活躍が期待できる「希望の星」を10人ほど選んでいます。

 まだ知られていない若者を紹介する狙いのようで、今回の11人を私は誰も知りません。アフリカなど多様な国から選ばれ、女性が6人を占めます。

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2. 例えば,

(1)アフガニスタンのザリファ・ガファリという27歳の市長。父親はテロで殺され、自らもテロリストからの暗殺の恐怖や警告に遭いつつ、同国で初めての最年少の女性市長として頑張っている。

 

(2)と思えば、西アフリカのマリ共和国からフランスにやってきた移民の息子、28歳のモリー・サッコ。貧しい8人家族の中で育ち14歳で学業を終えてレストランの皿洗いから始め、昨年パリで開業したところいきなりミシュランの星を取得し、テレビの料理番組まで持つことになった。

彼の料理は、アフリカ料理とフランス料理に日本風味を加えたもので、日本風は子供のときにテレビで見たアニメから学んだそうです。

 

(3)高校時代に長い間教師から受けたセクハラを後日告発し、法改正まで可能にし、いまは同じ経験に苦しむ女性の救済に取り組んでいる26歳のグレース・テイム。彼女は「オーストラリア2021年今年の人」に選ばれた。

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(4) もっとも多くのページで紹介しているのはクワイケ・エメジ(Akwaeke Emeji)、ナイジェリア生まれの33歳の作家。16歳でアメリカに移住し、一昨年、アフリカ・イボ族に伝わる魔術師の霊力を武器に黒人差別に生きる若い女性の物語でデビューし、英米で高い評価を受け、その後の2作も大きな話題になっている。

しかもエメジは「トランスジェンダー(身体的な性別と自認する性別が一致しない)」を自らも公表し、物語の主人公にも取り上げて、これらの人物を三人称で語るときは終始「they」と表記する。

つまり、本来「三人称複数」の「they(彼ら・彼女ら)を、「he (彼)」でも「she(彼女)」でもない、「トランスジェンダーの三人称単数」として使用している。

タイム誌の記事もこれに倣って、エメジの語りを紹介する文章では「~they(エメジのこと) say」と記述します。

 

3.今回は、日本からも2人選ばれました。中島瑞木(みずき)・杏奈(あんな)という32歳の双子の姉妹です。タイム誌はこう紹介します。

 

(1)二人は2014年に、女性向けのスマホ用アニメゲームが殆どないことに気付いて、

女性に魅力ある物語を展開するゲーム商品を作るために、株式会社コリーを立ち上げた。

大成功となり、東京マザーズ市場に上場し、株式時価総額はいま220億円を越える。

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(2)しかも同社がユニークなのは商品の新しさだけではない。管理職の70%、全社員240人の75%が女性である。女性の社会進出が先進国の中でも極端に遅れている日本社会では、きわめて異例なことである。

(3)二人はこう語る。

「女性は有能だと私たちは知っています。だからわが社には、女性が多いのです。そして、ゲーム商品を通して、若い女性が孤独に打ち克つことに役立ちたいし、次世代のために大事なことは、人々に明日への希望を与えることが出来るゲームを作ることにあると考えています」。

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4.他にもいろいろな経歴の人たちで、何れにせよ、顔ぶれの多様性に感心すると同時に、さまざまな若者が世界で活躍していることをあらためて知りました。

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 日本の若い人は、中島姉妹経営のコリー社のゲーム商品(「魔法使いの約束」など)をよく知っているでしょう。しかし、スマホのゲームに触ったことのない私は、ゲームという商品がいかに若者に魅力を与えているかということも知りませんでした。

 私の知らないうちに、若者が関心をもつ世界は全く変わってきているようです。

もっともタイム誌によれば、前述したクワイケ・エメジは子供のときから物語を

読み、書くことに熱中し、16歳でアメリカに来たときにはディケンズトルストイドストエフスキーも読んでいた。そしてアメリカの大学に入学して、学長がそんな彼女の読書歴を特別なこととして学内で紹介し、賞賛したことにかえって驚いたそうです。